今回は古賀市にある「あおぞらの里 訪問看護ステーション」に場所をお借りして勉強会をしました。
私は、筋萎縮性側索硬化症(ALS) の患者さんを数名訪問診療しています。徐々に筋力が低下し、いずれ嚥下や呼吸にも影響していく神経難病です。なるべく症状の進行を遅らせたいところですが、呼吸機能を維持するためにはどうしたらいいのか?その時一つの提案にLICトレーナーがあります。実は私も、患者さんのご家族から「LICトレーナーを試してもらえないか?」と提案されるまで、この機器の存在を全く知りませんでした。あまり体にかける負担は大きくなく、また自費となりますが費用も高くなく、保険診療上の縛りもないので、神経難病で呼吸機能に問題がある方には比較的早期から提案してもよいのではと考えています。私の受け持つALSの方に関わる全ての事業所に声をかけたところ、30名以上の参加となりました。少しでも多くの方に知ってもらい提案してもらえたらよいかなと思っています。
参考までに・・・
LIC(Lung insufflation capacity)とは?
筋萎縮性側索硬化症(ALS) など神経筋疾患患者は、呼吸筋力の低下により肺胞低換気が生じるため、咳嗽力が弱化してくる肺・胸郭の伸張と咳嗽力の増強する一つの方法として肺容量リクルートメントがあります。
息溜めができる → 深呼吸により最大強制吸気量(MIC:maximum insufflation capacity) まで息を吸って溜める。
息溜めが出来ない → 一方向弁バルブとバックバルブマスクを使用し他動的に最大強制吸気量まで息を吸って溜める。この時の容量を LIC(Lung insufflation capacity)といいます。
LICトレーナー(LT)とは?
肺容量リクルートメントを行うにあたり、特に息溜めができない方に LIC まで効果的に負荷をかけるための道具。
LT の対象は、
肺や胸郭の柔軟性を維持するために陽圧換気を行うことが困難な発症初期の方
人工呼吸器を選択しない方
息留めが困難な球麻痺(口頭咽頭機能の障害)の方
気管切開や気管挿管の方
非侵襲的人工呼吸器装置の方
LIC の練習が適応となる主な疾患
筋萎縮性側索硬化症(ALS) 、筋ジストロフィー、ミオパチー、高位脊髄損傷、重症筋無力症、ポンぺ病、脊髄性筋萎縮症、ギランバレー症候群、ポリオ後症候群、ニューロパチー、パーキンソン病及び関連疾患、両側横隔膜神経麻痺があります。